直読直解の罠
- johnny-osoro
- 2024年1月14日
- 読了時間: 2分
僕は直読直解(和訳を解さずに英文を読む技法)には条件付きの賛成だ。高い英語力を手に入れるには直読直解が必要だが、その前提条件として非常に高いレベルでの和訳練習を経る必要があるということだ。
一部の英語指導者、学習者が英文和訳・英文解釈を練習メニューの中心から外している。これは入試問題の長文化や読解問題の中心化と軌を一にしていて、和訳をしていては制限時間内に問題を解き切れず、直読直解であれば読む際に日本語を挟まない分、速く読めるから、という理由によるものだろう。
ここで少し、自分の経験を紹介する。僕は大学生のときに、卒論の題材を探すために精神分析やジェンダー論などの人文学系の英語論文を読んでいた。こういったテーマの文章は複雑かつ抽象的で、論文自体が哲学書のような雰囲気を出している。試行錯誤した結果、理解できるレベルまで到達できた方法は、大学受験のように単語を辞書で調べ、文型と修飾関係を確認し、和訳をするというものだった。
半年ほどこの作業を続けるうちに、アルバイトで教えていた大学入試の問題を、英文解釈を実施した時と劣らぬ精度で直読直解できるようになるという変化が起こった。
文章は、難易度が易しい順から「直読直解できる英語文」「日本語に和訳すれば理解できる英語文」「日本語でしか理解できない文」に並べられる。「直読直解」できる文の幅を広げるためには、その格上である「日本語を介在させれば理解できる英語文」のレベルを上げるのが鍵だ。ここが引き上げられると、その下の「直読直解」文との境界も上昇する。こうして日本語を介在させずとも読める英文のレベルが上がっていく。これが、大学生の時の経験から得た、直読直解に対する理解だ。
直読直解は必要である。ただし、そのためにはハイレベルな英文和訳・英文解釈の素養が不可欠である――これが、大学で学んだ逆説的な教訓だ。
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